あなたは恋人と見送るとき、周りが見えていますか？
相手の一挙手一投足に夢中になりすぎて、危ない目にあったり、
入ってはいけないところにまで入っていってしまったり、なんてことはありませんか？

一月ほど前の話なので、もうご存知の方もいるとは思いますが、
中国籍の留学生が、アメリカで引き起こした大事件は、
アメリカでも、中国でも大きな話題となっています。

中国人の留学生が引き起こした事件とは、
アメリカ・ニュージャージー州、ニューアーク・リバティー国際空港へ、
ガールフレンドを見送りに来た彼は、彼女とキスをしながら、
搭乗客だけが入れるセーフティーゾーンに、不法侵入したのです。
その結果、6時間建物の閉鎖と、飛行機の遅延を引き起こし、
千名以上が影響を受けました。

丁度クリスマスイブのテロ未遂事件があったあとの、
ピリピリした状況の中で起こったこの事件に、
ただの不法侵入では終わらず、全米、全中で注目される国際問題へと発展したのです。

この事件の注目点は、
まず、彼が不法にセーフティーゾーンに侵入したこと。
次に、入口でガードするはずの警備員が持ち場を離れていたこと。
さらに、防犯カメラの映像をチェックしている担当者が見過ごしていたこと。
この三つが重なり、今回の事件が発生したとされています。

関連法規によれば、彼は30日の拘禁と500ドルの罰金が、
言い渡されるだろうと予想されていますが、
ニュージャージー州の地方政府は、今回の事件を受け、
法規の見直しと厳罰化を議会にかけるとしています。

米国の各方面に影響を与えた事件でしたが、
影響を与えたのは、米国だけではありません。
中国では、ここ数年マナー向上キャンペーンを国内で展開するだけでなく、
年々ふくれあがる、海外旅行者の無用なトラブル発生を抑制するため、
海外旅行でのマナー向上も視野に入れたキャンペーンが打たれてきました。

しかし、今回の事件を受け、駐米中国大使館は在米留学生を中心に、
生活で必要な法律知識、トラブル時の対処法など、
米国独特のあるいは中国とは異なるものなどを中心にレクチャーし始めたのです。
そして、中国国内でもさらにマナー向上だけでなく、
渡航先の法規などを記した小冊子の作成に着手しているそうです。

今回の彼は、ちょっと彼女との別れを惜しんだだけですが、
その身勝手な行動が招いた結果は、とてつもなく大きなもので、
経済損失は数億ドルにのぼると見る専門家もいるようです。

私が子供の頃は、日本人が海外旅行へ行くなどまだ珍しく、
海外旅行でのトラブルが新聞・ニュースを賑わしていました。
最近は余り聞かなくなりましたが、それでも携帯電話やパソコンのトラブル、
ひったくりに、誘拐、殺人まで、海外旅行だけでなく長期滞在者が狙われるケースもあるようです。

郷に入っては郷に従えとは言いますが、
これから春休みのシーズン、海外旅行へ出かける方も多いのではないでしょうか。
皆さんも海外へ行くときは、日本の常識は一切通用しないことを改めて頭に入れて、
楽しい旅を満喫してきてください。

決して、セーフティーゾーンまで入っていってイチャイチャしてはいけません。
それはあなたにとってのデンジャーゾーンになるかもしれません。

ご意見はこちらからどうぞ