自分の性別が男か女か、外見的に分からない人はまずいないでしょう。
中には外見が男っぽい女性、女っぽい男性もいたりしますが、
それは、生活環境などでそうなったのであり、別に問題があるわけではありません。

ところが、性同一障害などで苦しむ人たちは、
様々な問題を乗り越え、性別適合手術を受け、
外見をそれ園性別にあった形に変えるのです。
このケースは、病気として最近では社会的な認知が進んできたと思われます。

ところが、今回私も初めて知ったのですが、
生殖器の発育不全により、
男の子を女の子として育てしまった親の話が、
中国でニュースになっていました。

通常精子が卵子に入った段階で、性別が決まります。
所謂Ｙ染色体とX染色体の存在です。
人間にはご存知の通り46対の染色体があり、
46対目の片方がXかYかで性別が決まるのです。

もしこの性別を決定する染色体がなかったら、
女性として生まれてきますが、発育不全となる、
いわゆるターナー症候群(Turner syndrome)となるのだそうです。

ところが、正常に染色体が46対存在しても、
その後のホルモン分泌が正常でなければ、
外見が男性や女性になれないのです。

人間は受精卵から成長していく過程で、
生殖器のもとになる器官(中腎管と中腎傍管)をつくります。
つまり、この段階では男性にも女性にもなり得るわけです。

このあと、ホルモンの分泌により、この器官がそれぞれの性別になるわけですが、
Y染色体からのホルモンが分泌されると、中腎管が男性器となり中腎傍管が退化します。
またY染色体がないと、中腎管が退化し中腎傍管が女性器となるわけです。

ですから、ターナー症候群は、Y染色体がないため、
中腎管が退化し中腎傍管が女性器を形成するのですが、
結局X染色体がないため、女性器としての発育が十分出来ないと言うことになるのです。

ちょっと難しい話ですが、仕組みはお分かり頂けましたでしょうか。

今回性別を間違えて育ててしまった親は、
外見的に女の子つまり男性器がないので、当然女の子として育てました。
着るものはもちろん、学校などで使用する設備もすべて女子用でした。

ところが、13歳のこの児童が通常なら起こる第2性徴がおこらず、
女の子として発育するはずの胸部も、また月経もなかったため、
心配した親が、医者に診せたことで、重大な問題が発覚したのです。

この児童を診察した医師は、問診でターナー症候群だろうと診断したのですが、
レントゲンを撮ってみて分かったのは、ターナー症候群ではなく、
男性器が体内にはいたままの、発育不全だったのです。

また、染色体の検査でもY染色体の存在が確認され、
男児であることが確認されたのです。

詳しい検査によって、この児童の体内には、
17a−水酸化酵素(hydroxylase)が足らないために、
このようなことが起こったと言うことが判明したのですが、
親はこの児童に真実を告げず、このまま女児として育てていくと言うのです。

ただ問題は体内にある男性器で、切除施術をしなければ、
癌などの病気になってしまう可能性があり、
また、ホルモン注射により、第2性徴を促して胸部を発育させる必要があるというのです。

世の中には様々な病気がありますが、
こんな病気があるとは思いませんでした。

日本では、性同一障害で悩む人々が、
様々な問題に取り組み、社会参加できるようになってきていますが、
こういう話を聞くと、問題の根はまだまだ深いなと感じました。

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