自殺幇助
日本語に「幇助」と言う言葉があります。この言葉使われるのは裁判所か警察署ぐらいで、「他人の違法行為を手助けする」ことを言うことが多いですが、単に「人助けする」の意味も有ります。中国語で「幇助」と書くと、もちろん日本語同様両方の意味がありますが、一般に「人助けする」の意味で使われる場合が多いようです。
しかし今回の「幇助」は危うく「違法行為の手助け」になるところでした。南京のタクシー会社に勤めるAさんは、22日午後、若い女性を乗せた時、何かおかしいと気付いたのです。最初女性はお寺に向かうようAさんに言いましたが、何か様子が変だったのです。到着すると、今度は長江大橋に向かってくれと言います。
彼は何となくピンと来て、橋の上は停車できないからとかなんとか理由をつけて、拒否したのです。すると、女性は「私が死のうが何しようがあなたに関係ないでしょ」と言い、自殺するつもりでいることが分かったのです。Aさんはそれを聞いて、断固拒否しましたが、女性は突然Aさんの車を降りると、別のタクシーを拾いました。
そのタクシーが彼女を乗せて行こうとしたとき、Aさんは慌ててその車を止め、その女性が自殺しようとしていることを話し、行かないよう説得しましたが、その運転手は「俺の知った事じゃない」と行って、Aさんを振り切り行ってしまったのです。慌てたAさんはとりあえず警察に連絡し、自分もあとから追っかけていったのです。
長江大橋周辺が渋滞していたため、なかなか追いつけずにいたAさんと警察官が着いた時には、女性は橋から飛び降りようとしていたのです。間一髪警察官が女性を止め、彼女は死なずに済んだのです。
Aさんは、彼女が助かったことでほっとすると、彼女を橋まで連れてきたタクシー運転手に対する怒りが沸々とこみ上げてきました。しかし、彼女が自殺しなかったことで、タクシー会社も明確な規定がないため、彼を解雇することも、処罰することも出来ず、お咎めなしとなったのですが、当然中国でも「自殺幇助罪」は適用されますので、もし女性が死んでいたら、この運転手は重大な刑事責任を負うことになるところだったのです。
法律ではタクシー運転手は、乗車拒否をしてはいけないとか、タバコを吸ってはいけないとか、標識を提示しなければならないとか、様々な規定がありますが、自殺しようとしている人に乗車拒否することを否定する必要はあるのかと、大きな話題になっているようです。
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