第五回 「声調って何?」
前回、語学を学ぶ4段階の第3段階「読む」のピンインについて語りました。いかがですか?聞いたり、真似をしたりするのは、さほど難しくなかったと思いますが、いざ、文字と一緒に覚えようとすると、苦戦する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、毎日 http://listen.rbc.cn/ を聞いて、真似することを続けていれば、徐々に出来るようになります。何も難しく考えることはありません。あなたが聞こえたとおり真似をすればいいのです。
さて、前回お話ししたとおり、今回は「声調」について、書いていきたいと思います。
「声調」とは、いわば中国語のイントネーションのようなものです。日本語でも「はし」と言う言葉がよく引き合いに出されますが、この「はし」と言う言葉、「は」を高く「し」を低く読むと「箸」の意味になりますね。また、「は」を低くして「し」を高く読むと「橋」の意味になりますね。「は」も「し」も同じ高さで読むと「端」の意味になります。これが声調の原理です。
つまり、同じ音で、音の高さを変えることで、意味が変わってくるのです。
例えば「ma」というピンインがあります。このピンインを高さを変えずに発音すると「お母さん」といういみになり、低いところから高いところへ音の高さを上げながら発音すると「麻」という意味になります。また、逆に高いところから低いところへ音の高さを下げながら発音すると「叱る」と言う意味になります。さらに、低いままで発音すると「馬」という意味になります。ですから、「お母さんが馬を叱る」と言う文章は「ma」という音を上げたり下げたりするだけで表現できるのです。
逆に言えば、この上げたり下げたりが、意味を理解する上で大変重要で、間違えると相手に通じないと言うことがおこるのです。ただ、安心してください。中国には様々な方言があり、この声調も地方によっては全然違います。従って相手とコミュニケーションを取る気があれば、前後の文章で理解することは出来ますので、おくせずどんどん話してみてください。
さて、この「声調」についてもう少し詳しく話します。
中国語の標準語である「普通語」には、「声調」が5種類あります。上海語や広東語などにも声調はありますが、種類も数も全く異なります。
では、普通語の「声調」はと言うと、
・第一声(だいいっせい) : 高さを変えずに、やや高めに発音する
・第二声(だいにせい) : 低いところから高いところへ高さを上げながら発音する
・第三声(だいさんせい) : 低いところで抑えながら発音し最後に心持ち高さを上げて発音する
・第四声(だいよんせい) : 高いところから低いところへ高さを下げながら発音する
・軽声(けいせい) : 音の高さは前の発音に依存し、軽く付属するような形で発音する
以上になります。
また、それぞれ記号があり、「ma」に声調記号をつけると、【mā má mǎ mà ma】という風になります。当サイトでは、これを便宜的に【ma1 ma2 ma3 ma4 ma】という風に表記しています。モニターだと声調記号は判読しづらい事がありますから。ちなみに、先ほどの「お母さんが馬を叱る」と言う文章をピンインで表記すると、【māma mà mǎ】となります。当サイト風に表記すると【ma1ma ma4 ma3】となります。
それでは、これらをふまえて、 http://listen.rbc.cn/ を聞いて見てください。
音の高さが上がったり下がったりしているのが分かりますか? これが中国語がメロディのように聞こえる要因だったんですね。ちなみに、中国人に言わせると、日本語はマシンガンのように「ダダダダ」と聞こえるのだそうです。
このように、中国語の発音を学ぶ上で、「ピンイン」と「声調」は外せません。しかし、皆さんは日々耳を鍛えて、中国語の音になれてきているはずです。テキストだけで学習した人よりも正確に上達していくはずです。焦らず、じっくりと楽しみなが学習してください。
ここで、一つ余談です。
あなたの目の前にコップが一つあると想像してください。今はまだ何も入っていない空っぽの状態です。これを雨の日に外に置いておくのです。するとどうなりますか?そう、雨水がたまっていきますね。あっという間にたまるときもあれば、何時間経っても一杯にならないときもあります。そして、一杯になると雨水があふれ出し、外にこぼれてきます。
これが、実は中国語を只管聞くと言うことと同じ事なのです。
つまり、あなたという「コップ」に中国語の音と言う「雨水」を溢れるまで注ぎ込めば、「雨水」という中国語の音があふれてきて、自然としゃべれるようになるのです。聞けば聞くほどしゃべれるようになるのですから、ぜひ、只管「雨水」を自分に注ぎ込んでください。
では、次回をお楽しみに。
劉白雨 2009年12月25日
|