さて、いよいよ入学手続です。このときも初めての体験をします。
中国人、特に北方の人々の時間感覚は、僕ら日本人とは全然違います。
僕自身中国はこのときが二度目ですが、この時間感覚に関しては初体験でした。入学手続をしようと並んで事務所の前で待っていると、時間一寸前に来た受付の先生(ここでは留学生の担当は全て中国人学生の語学担当教師がやることになっている。日本人留学生に対しては、日本語教師が必然的に行うことになります。)が時間までお茶を飲んでくつろいでいるので
す。
日本だと、たかだか五分位だったら、ましてや学生が並んで待っているとなれば、早めに始めてしまうと思いますが、中国ではそうではない。時間通り始めるのが当たり前なのです。昔の日本の国鉄職員を見ているようです。兎に角何もかもがお役所仕事で、終了時間にしてもしかりです。終了時間一寸前と言うときに駆け込んでも、手続はして貰えません。何故かというと、時間内に終わらないからです。ま、袖の下が有れば別ですが……。
そんな時間感覚も、学内にある中国銀行、書店、売店、全て同一の感覚なのです。兎に角、時間ぴったりに始まって、時間前に終わると言うのが中国人の感覚のようです。ただし、今現在、街の中ではそう言う時間感覚は一部を除いて大分薄れていると思われます。もし中国へ行かれる方がいらっしゃいましたら、その辺も観察してみて下さい。商業主義に走っている所は、対応時間の感覚が以前と
まったく違います。
入学手続は時間的な制約を除けば、至って簡単で、留学生課の先生から手続書を受け取り、必要事項を記入。健康診断書と写真、その他必要書類を提出し、学費、宿舎費を校内の銀行に納入して完了。中国への在留手続は学校側で全てやってくれるので、問題はありません。ただし、健康診断書に不備があると、検査のために指定病院へ行かされる羽目になりますので、こうなるとちょっとめんどくさいですが。
当時は健康優良児だったので、幸い何の問題もなく済みました。
在留手続き、入学手続きが済むと、今度は振り分け試験です。此処ではH.S.K.(国家漢語水平考試)でレベル分けされるのです。試験当日は、このH.S.K.になれず、ヒヤリング問題の記入方法
で間違いを犯し、結果は最悪の状態でした。しかし、中級レベルと判断され、2年生のクラスに振り分けられました。初級ではなくて良かったです。大学で4年もやって来て、bo、po、mo、foと発音を一からでは堪りませんからね。
レベルが決まると、今度はクラス分けと選択授業です。ま、大学で経験済みであった為、この辺はサクサクと選択して終了。ただし、午前中だけで授業が終わる人が殆どであったのに、僕は午後も幾つか入れてしまい、後で結構大変な事になってしまいました。
それでは、ここで北京語言学院(現:北京語言文化大学)の簡単な紹介をします。
1962年創立で、当時は「外国留学生高等予備学校」といい、その名の通り、外国人の中国留学への準備学校として中国語、中国文化を教えていました。1964年6月に「北京語言学院」と名を改め、1996年6月に「北京語言文化大学」と更に改名しました。場所は、北京市街の西北部、高等学府が林立し、科学研究所が集まっている海淀区に在ります。毎年、160ヶ国以上から来る外国留学生5000名と、中国人学生4000名がここで学習しています。
校内には、学生食堂を始めとしてレストラン、食堂、売店、商店、床屋、銀行、国際郵便局等、およそ生活と娯楽に関する全てのものが揃っていると言えます。私の留学時代には学校の近所にディスコまでオープンしました。もちろん、宿舎、教室、図書館、グランド等、勉学に欠かせないものは当然あります。
さて、それでは、次に宿舎の紹介です。
私の部屋は西塔楼と言う地上14階建てのアパートの最上階にいました。幸い南の部屋だったので、二年間快適に過ごすことが出来ました。この西塔楼はもう一つ東塔楼とセットになっていて、この二塔の塔楼は男性用になります。
その南側に地上5階建ての公寓楼(コンユウロウ gong1 yu4
lou2)が有ります。こちらが、女性用になります。 塔楼の部屋の広さは、大体畳の部屋で10〜12畳の広さ位で、二人部屋になります。女性用の公寓楼はもっと狭く、二人用で大体その半分一寸位です。部屋の設備はヒーター完備(余り暖まらない)でベット、机、衣装ダンス兼本棚、洗面器、ポットです。後は、共同トイレに、共同シャワー、共同洗面所です。これで一日2米ドルです。当時は1米ドル90円前後でしたので、200円を切っていました。
その他にも、宿舎は有り、ピンからキリまでです。キリはもちろん私がいた宿舎ですが、ピンは一流ホテル並の部屋です。
このような学校で、僕はこれから2年間世界各国からやって来た人達と一緒に中国語を学んでいったのです。
大体紹介が済んだところで、次の話に行きましょう。お食事中の方は、お食事が終わってからの方が良いかと思います。
それでは次の回へどうぞ。